ポルシェ・モータースポーツのボスであるトーマス・ローデンバッハは、2025年のWEC世界耐久選手権に9つめのレースが追加される可能性が取り沙汰されるなか、シリーズがカレンダー拡大に慎重なアプローチを取るよう促した。
今季2024年は『カタール1812km』がカレンダーに追加されたことで、WECの年間スケジュール上のレース数は計8戦となり、2017年に最後に見られた最大レース数の9戦まであと1戦に迫った。
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WECのフレデリック・ルキアンCEOは昨年、2025年シーズンに9つめのレースを開催する可能性を示唆し、実現すれば2019年以来となるシルバーストンへの復帰がその枠を埋める可能性があると述べていた。
しかし、今夏に予定されている2025年のスケジュール発表に向けて協議が進むなか、ローデンバッハは9つめのラウンドが開催地に関係なく、チームにとって追加費用が正当化されるかどうかをWECが確認する必要があると語った。
「これは予算の問題だ」と彼は言う。「大陸横断旅行で予算が増えるなかで、それがどれだけの付加価値をもたらすか、私たちはつねに自問しなければならない」
「マーケティング、認知度、ファンベースを向上させるのであれば……それに取り組まなければならないのは明らかだ」
「これはプロモーターだけの仕事ではなく、私たち全員の仕事だ。そうすればレース数も増やせると思う。だが、今のところは注意しなければならないと思う」
「今のやり方でレース数を増やすべきではないと思う。財政的な面ですでに厄介なことになっているし、とにかく慎重になるべきだと思う。GTチームのことを忘れないでほしい。彼らがすべてファクトリーから支援されているわけではないんだ」
「もちろん、今は耐久レースにおいて素晴らしい時代だが、私たちは他の時代も見てきた。我々は賢明になるべきで、これが永遠に続くと仮定するべきではないと思う」
「私の考えでは、(9戦目の追加するには)マーケティングの価値や認知度を高めることと連動する必要がある。私たちはプライベーターのためにも、より多くのスポンサー資金を得る機会を増やすことができるはずだ」
「他のシリーズでは20レース以上開催しているのを見かける。余裕があれば、投資に対する見返りがあるのであればそれでもいい。これは並行して進める必要がある」
「今のところ、私は慎重を期している。今だけでなく10年後にも耐久レースで素晴らしい時代を見たいと思っているんだ」
もしもWECが9戦目を追加する場合、ローデンバッハはポルシェにとって重要な市場である北米での追加レースか、あるいは中国への復帰を希望すると述べた。
インディアナポリス・モーター・スピードウェイでのレースは、2025年ではないもののWECの将来の選択肢として浮上しており、一方ではCOVID-19のパンデミック以来となる上海への復帰を示唆する声もある。
■願わくば、ドイツラウンドの復活を
ローデンバッハはまた、中東で2レースを開催する必要性に疑問を呈した。「バーレーンとカタールでふたつのレースをする必要があるのか?」と彼は言った。
「誤解してほしくないが、これらの国に対して何も反対はしていない。ただ、8つの内ふたつがそこにあるだけだ」
「(シリーズの)財政的にうまくいく必要があるのは理解しているし、だからその点は全面的に受け入れている。しかし、このことを考慮に入れないのであれば、他の配分を選ぶと思う」
「例えば、北米で2レースを戦えるなら幸せなことだ。カレンダーにもよるけれど、巨大なマーケットだから2レースやっても大丈夫だと思う。少なくとも中国で1レース、アジアでもう1レース。今は日本で開催しているね」
「中東は1レースあれば充分だ。ヨーロッパでは少なくとも3レースあるといい」
「イタリアでレースをするのは理解できる。フェラーリやランボルギーニがいるのだからね、誰にとってもホームレースがあるのはいいことだ。フランス(ル・マン)にはアルピーヌとプジョーにとって大きなレースがある。私たちもぜひそうしたい」
WECが最後にドイツでレースを行ったのは2017年のことで、これは選手権にとって3度目にして最後のニュルブルクリンク訪問となった。
ローデンバッハは、ニュルブルクリンクをWECのドイツラウンドの唯一の開催地と考えているかとの問に対し、次のように答えた。
「私たちはホッケンハイムでレースをすることもできる」と同氏。
「どこがどこよりも優れているトラックだとは言わないが、ドイツの自動車メーカーとしては、もしニュルブルクリンクが無理ならホッケンハイムでレースができれば嬉しい」
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